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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1639号 判決

被告人

姜攝龍

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

次に本件記録に徴すれば、原審に於ては、其の第一回乃至第三回の各公判期日に弁護士中沢信雄が被告人の弁護人として出頭し審理を遂げたのに拘らず、同弁護人の選任届が本件記録中に添綴されて居ないことは洵に所論の如くであるけれども、右弁護人が原審第一回乃至第三回の各公判期日に出頭して、被告人の爲に積極的に防禦の方法を講じ、被告人竝原裁判所に於ても之を是認して審理を遂げ、殊に右弁護人に於て原判決が言渡されるや之に対し自ら被告人の弁護人として控訴申立書を提出したことは本件記録に徴し明白であるから斯の如きは他に反証の認められない限り右弁護人が被告人から選任され、原審の公判期日に出頭し、之が審理に立会したものと認むるを相当とすべく本件記録を精査するも右弁護人が被告人から選任されたものでないことの反証は之を一つも発見し得ない然らば右弁護人が原審公判期日に出頭したことを捉え、所論(二)のような違法が存するものとも謂い難く、從つて此の点に関する論旨も理由がない。

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